これって、「パワハラ」?
これって、「適切な言動」?
「職場の改善」のためのパワハラ対策に
なぜ、日本では「パワハラ」がクローズアップされるのか
セクハラとの類似点、相違点
パワハラと誤解されないために・・・
相手の「存在感」を大切にする



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これって、「パワハラ」?
 「パワハラに該当するのか。該当するとしたら、どのような処分をすべきか」ということを判断しようとすると、議論を重ねても、いつまで経っても結論が出ないということも起こります。

 1回の行為でも、パワハラとして処分するのか、2回行った場合に処分するのか。回数だけで判断していいのか、その他の要素は考慮しなくていいのかなど、様々な論点が出てくるはずです。
 一定の判断が下されたとしても、「パワハラとするのはおかしいのではないか」、「パワハラと認定するにしても、処分が重すぎるのではないか」などと、反発や反論を生むこともあります。
 外部の専門家に意見を求めても、それぞれの立場や考え方によって「パワハラに該当するか」「処分が妥当か」という見解は違ってきます。おそらく、裁判官でも、パワハラの基準や処分の妥当性についての見解は違ってくるはずです。

 「パワハラ(パワーハラスメント)」というのは、新しくできた概念であり、法的な定義もなく、社会的な合意形成も途上の段階です。「パワハラかどうか」という線引きは、専門家も含めて、人によって大きなばらつきがあるのはやむをえないところです。
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これって、「適切な言動」?
 パワハラのない働きやすい職場をつくっていくためには、「パワハラかどうか」という視点から考えるよりも、「適切な言動かどうか」という一歩手前の段階から考えていくことが必要です。

 パワハラの場合は、何度も執拗に繰り返した場合にパワハラとして認定されることが多いため、暴力行為などをのぞけば1回限りのことでは、あまりパワハラと認定されることはありません。
 しかし、それではパワハラ未満の行為を予防することができず、「1回ならいい」という安易な考え方も生まれてきます。
 一歩手前の「不適切な行為」の段階で改善に取り組んでいけば、結果的にパワハラ事例は減少していきます。

 重要なことは、ある言動がパワハラに該当するかどうかではなく、言動をより良いものに改善してもらうことです。

 例えば、金曜日の夕方に「月曜日の朝までにこの資料を作っておいてくれ」と上司が命じて、「パワハラではないか」と訴えがあったとします。

 こうしたケースでは、パワハラかどうかを判断することばかりに意識が行きがちですが、「金曜日の午前中に報告書の作成を指示することはできなかったか」、「緊急事態が発生してやむなく金曜日の夕方に指示したのだとすれば、土日を休日出勤扱いにして振替休日をとらせることはできなかったか」など、別のマネジメント法を考えてもらうこともできるはずです。
 「より適切な方法はなかったのか」という点を考えることこそ、行動の改善、職場の改善のための重要な手法です。

 一つ一つの事案をもとに、より適切な行動の選択肢がなかったかどうかを考えていけば、パワハラ事例から学べる点は非常に多くなり、単に法的責任を果たすことに留まらず、会社の発展に結びつけていくことができます。
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「職場の改善」のためのパワハラ対策に
 パワハラ対策に取り組もうとしている会社は増えていますが、経営者や管理職の方から「パワハラなんて言われたら、指導ができなくなる」とか「本当にパワハラ対策が会社のためになるのか」といった声をよく聞きます。
 実際、処分を恐れて、管理職が萎縮してしまっている職場もあります。

 パワハラ対策は、管理職を萎縮させるために行うものではありません。管理職も含めて誰もが働きやすい職場づくりをするために行うものであり、会社の成長に結びつけることが目的です。その点をよく理解してもらう必要があります。
 パワハラ対策のやり方を間違えると、社員を萎縮させることにつながってしまう場合もありますので、気をつけなければなりません。
 パワハラ対策の関心が「パワハラかどうかの認定、処分」といったことに置かれがちですが、本当に重要なことはその先です。「行動の改善、フォロー」まで行うことで、初めて、パワハラ対策がポジティブな効果を持つ対策となってきます。

 パワハラ対策を会社の発展に結びつけていくためには、安全管理やリスク管理の分野で取り入れられている手法が参考になるのではないかと思います。「裁くこと」に目的を置くのではなく、教訓として「学ぶこと」に目的を置く手法です。
 各事例から「どういう言動を選択すれば、より適切だったのか」「どういうマネジメントをすればより適切だったのか」を考え、そこから学んで、働きやすい職場づくりを行っていくという考え方です。それが結果的に、将来のパワハラ発生を防ぐことにもつながります。

 もう一つの観点は、パワハラ問題を個人の責任に帰することができるのかという点です。休日労働を求める場合など、管理職の不適切な言動を改善させることは重要ですが、仮に誰がその職場の長を任されても同じように休日労働を求めざるをえないというほど業務量が膨大であれば、もはや一管理職の責任とは言えず、組織全体の問題です。
 組織の問題であるにもかかわらず、管理職個人の責に帰して、パワハラ行為者と認定して処分をするわけにはいきません。

 パワハラのない職場をつくるためには、管理職層の理解と協力が不可欠です。本来の目的(職場環境を改善すること)を明確にしてそれに近づけることに対して管理職層の理解を得るためにも、パワハラ対策を「被害者の救済」と「行為者の処分」といった側面だけにとどめず、「より適切なマネジメント法を考える機会」「より働きやすい組織を考える機会」にしていただければと思います。
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なぜ、日本では「パワハラ」がクローズアップされるのか
 では、なぜ日本ではパワーにウェイトが置かれた「パワハラ」がクローズアップされたのでしょうか。海外でも、パワーを持った上司が部下に無理難題を押しつけ、厳しく叱り飛ばすことはありますが、海外ではそれが問題だという認識はあまりされません。
 そこには、社会文化的な背景の違いが影響していると思われます。

 欧米諸国など「契約」の考え方が強い国々では、契約に基づいて上司が職務上の権限を行使することは当たり前のことであり、部下がそれに従うことは当然のこととされています。その意味では、日本よりも上下関係が厳しく捉えられています。「ボスの言うことに逆らったらクビになる。ボスの言うことはすべてイエスだ」と考えている人も少なくありません。上司からの無理な要求に耐え抜いている人はたくさんいます。

 しかし、契約の範囲外、つまり職務の範囲を超えた分野で、上司が権限を行使することは認められていません。職務範囲が示された文書に書かれた仕事以外のことを命じられたときには「それは、私の職務外です」と主張することもできます。
 また、言うまでもなく、終業後の時間は契約外ですから、上司の権限は及びません。仮に終業後に上司から「飲みに行こう」と言われたとしても、堂々と断ることができます。もちろん、自分が行きたいと思えば、飲みに行くこともできます。選択の自由があると言ってもいいでしょう。
 解雇をちらつかせて脅され、無理難題に近い高いノルマの達成を迫られていても、終業後の自分の時間にまで及ぶことはありませんので、一定の逃げ道のようなものが確保されているとも言えます。また、欧米には、終業後こそが自分の本当の人生であり、仕事は単なる生活の手段と割り切って考えている人もいます。

 一方、日本では、使用者・労働者ともに、契約の意識はそれほど強くなく、職務内、職務外の線引きも曖昧です。「こんなことまでやらなければいけないのか」と思っても、上司の命令に従わざるをえなくなります。
 先に挙げた例のように、金曜日の夕方に、「月曜日の朝までにこの資料を作っておいてくれ」と上司から言われても、断れる人はほとんどいないでしょう。仕事時間や職務内容など、いろいろな面で線引きが曖昧ですから、「理不尽だな」と思ってもパワーを持った人の意向には逆らえないのが実状です。

 こうしたことが日常的に繰り返されていて、そして、あるとき、ミスをしたことを上司から大声で怒鳴られたとしたら、それまで我慢していた気持ちが一気に吹き出してきます。口には出さなくても「あなたのせいで、土日も働いているんだ。こっちは、もう疲れ切ってヘトヘトだ。こんな状態じゃあ、ミスだって出る」と怒りを募らせ、「パワハラを受けている」としか思えなくなっていきます。
 サービス残業をせざるをえない状況になるのも、終業後に上司から飲みに行こうと誘われて仕方なく付き合わざるを得ないのも、いずれも、日本ならではの社会文化的背景が影響していると考えられます。

 職務内と職務外の境界があいまいな日本では、上司の権限がどこまでも及んでしまう可能性があります。受け止める部下の側は、「これは職務外じゃないかな」と思っても、明確な根拠がなく、上司の権限に逆らえません。
 このような背景もあり、諸外国にはない概念として、パワーの濫用を防ぐことに重点が置かれた「パワーハラスメント」がクローズアップされてきたのではないかと思います。
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セクハラとの類似点、相違点

 <類似点>

 @ 公私の境界線のあいまいさ

 パワハラも、セクハラも、公私の境界線の曖昧さが原因となる点では似ています。
 例えば、終業後に上司から誘われるケースでは、上司の側は私的な誘いのつもりですが、部下は「これを断ったら仕事に響くかもしれない。職場に居づらくなるかもしれない」と思って誘いに応じます。部下にとっては、私的な場ではなく、「業務の一環」という意識が強くなります。
 この認識の違いがパワハラ、セクハラの温床となります。

 A 繰り返し、継続性

 パワハラもセクハラも、繰り返しや継続が被害を拡大させます。裁判例などを見ても、悪質と見なされたケースでは、「執拗に」、「継続的に」といった要素が厳しく責任を問われています。
 ただし、暴力行為など1回限りでも許されない言動もあります。セクハラの場合では、体に触れるなどの性的行為は、たとえ1回限りでも、当事者に不快感を与えた場合には、セクハラ行為として厳しく処分されています。

 <相違点>

 @ 職務上の合理性

 「性的な言動」は、職務とは関係のない要素です。私的な目的であり、職務上の合理性がありませんので、性的な言動が存在すれば、それだけで「セクハラ」と認定される可能性があります。仮に「セクハラ」と認定されなくても、職務と無関係な言動ですから、「職務に専念していない」とみなされます。

 それに対して、パワハラは、職務の範囲において行われる行為であり、職務との密接な関連性を持っている場合がほとんどです。
 例えば、ミスをした部下を公衆の面前で侮辱的に厳しく叱責するという行為は、名誉毀損にもなりかねない問題行為ですが、職務と無関係かというと、そうとは言い切れません。窓口でお客様に失礼な態度をとった部下に対して、お客様が何人も見ている前で叱責するというケースも考えられます。あとで叱るよりも、その場で注意することが必要なこともありますから、公衆の面前であっても、職務上の合理性を持っていると判断されることもあります。

 大半の行為は職務と密接な関連性を持ったものであり、私的な目的ではなく職務上の目的性を有するものが少なくありません。上司としては職務目的で行った言動に対して、人事担当者としてどのような処分を下すのかという点で、セクハラよりも難しい対応を迫られます。

 A 文脈重視の度合い

 セクハラ行為は、業務上まったく必要のない行為です。セクハラ的内容のメールが保存されていたり、ICレコーダーなどに発言内容が録音されていたりしていれば、断片的ではあっても、それらが決定的な証拠となってセクハラと認定されることがあります。

 一方、パワハラ行為の場合は、メール文面や録音データがあったとしても、それだけではパワハラかどうかの判断をすることができないのが普通です。人間は誰でも、売り言葉に買い言葉的に、行きすぎた発言が出ることがありますし、場合によっては、相手を挑発したうえで、相手の感情的な発言を録音することさえできるからです。
 メール文面も、録音データも、前後を切り取って一部分だけを抜き出すことが可能ですから、パワハラの決定的な証拠というわけにはいきません。

 最近、取り調べの可視化問題などで、録音データ、録画データが話題となりますが、前後をカットした一部分のデータでは、信憑性が低いと考えられています。パワハラにも同様の要素があり、一部分だけを断片的に取り出して判断することはできないため、前後の文脈や、時系列的な流れをよく見たうえで判断することが必要です。

 パワハラは、セクハラと似ている点もありますが、一連の流れや文脈が判断材料としていっそう重視されます。そのため、パワハラの線引きは予想以上に困難なケースが多いものです。

 B 組織的な要因

 セクハラの場合は、男女差別的な内容のセクハラの場合には組織的な要因も関与していますが、執拗に交際を迫ったとか、性的な言動を行ったというケースにおいては、個人的要素が強く、行為者個人の問題として処分をするケースが大半です。会社は当事者とは言えませんので、第三者的に被害者と行為者の話を聞いて、処分を下すことができます。

 一方、パワハラの場合は、「個人の問題」の背後に「組織の問題」が隠れていることがあります。
 例えば、とうてい達成できないノルマを課して、部下を長時間働かせ、ノルマの未達を厳しく責め立てる管理職がいた場合に、その部分だけを見れば、パワハラ行為のように見えますが、その管理職も会社から厳しいノルマを課されているために行っていることかもしれません。

 パワハラの場合は、会社は第三者ではなく、当事者であることもあります。その場合、いったい誰が誰に対して「パワハラかどうかの認定、処分」をする資格があるのかということになります。

 この点が忘れられてしまうと、パワハラ問題を社内で解決するときに、組織の問題に目をつぶって、個人の問題として処理する傾向を生みかねません。

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パワハラと誤解されないために・・・
 「ハラスメント」とは、基本的には、不合理な言動です。職務上の合理的な理由があるのであれば、「ハラスメント」にはならないからです。

 しかしながら、合理的な理由を相手に伝えていなかったとしたらどうでしょうか。相手は自分で勝手に理由を想像します。「私のことを嫌っているからに違いない」「私のことをいじめようとしているんだ」と思われてしまっても仕方がありません。

 仕事が忙しいときには、丁寧に説明している時間は取りにくいかもしれませんが、ときには時間を割いて、「なぜ、これをしなければならないのか」「どうしてこのようにするのか」という理由を丁寧に説明しておくと、パワハラとして誤解される可能性は減ってきます。
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相手の「存在感」を大切にする
 パワハラの一例として、相手を無視し、コミュニケーションをまったくとらず、相手の存在を否定するような言動があります。パワハラやいじめを受けている人にとって、一番つらいのは自分の存在が認められないことであり、職場の中で孤独感、孤立感が深まっていくことです。
 また、相手を見下したりして、相手の存在を低く見るような態度も、心理的ダメージを与えます。そのような態度は繰り返されることが多いため、結果的に大きな心理的ダメージとなることが少なくありません。

 その反対に、お互いの存在をきちんと認めている職場では、職場の人間関係は良好になります。上司が部下の仕事ぶりを認め、その人の存在を高く評価している職場においては、部下のモチベーションも上がってきます。

 マネジメントをする上で、部下の「存在感」が高まるような方法を工夫していくと、パワハラの防止になり、また、部下のモチベーションが高まり、成果が出るという好循環を生みます。
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カウンセリングを通じて見た
  セクシュアル・ハラスメント
どんなタイプがあるのか?
男女とも認識が低い
セクシュアル・ハラスメントは
  どうして問題とされるのか?
どうしてセクシュアル・ハラスメントは起こるのか?
対応のポイント


 
カウンセリングを通じて見たセクシュアル・ハラスメント
 1988年のことです。初めてセクシュアル・ハラスメントの相談を受けたときはまだ私自身も「セクシュアル・ハラスメント」という言葉は知りませんでした。しかし、なぜか同じような相談がたくさんあったのです。そこで、いろいろな情報を集めてみると、どうやらアメリカには「セクシュアル・ハラスメント」という言葉があり、それに該当しそうだということがわかりました。ただ、まだ日本では新聞等にもそういう言葉がほとんど出ていませんでした。

 その後、1988年秋に日経産業新聞からセクシュアル・ハラスメントについてのコメントを求められました。当時は「こういう言葉が世の中に広がっていくのかな?」との思いもありましたが、それ以降、特に1989年から急速にマスコミで取り上げられるようになり、あっという間に、多くの人が認知する言葉となりました。それだけ多くの職場で現実には起こっていた問題だったからかもしれません。それからもう20年以上になります。

 セクシュアル・ハラスメントの問題は、ひとつは人権の問題として、見逃すことができません。と同時に、1999年4月から施行された改正男女雇用機会均等法に、事業主のセクシュアル・ハラスメントに対する配慮義務が規定されたことで、企業にとっても経営上軽視することのできない問題となりました。さらに2007年4月の法律改正によってセクシュアル・ハラスメント対策は強化され、女性労働者への配慮義務から男女双方を対象とする措置義務になりました。また非正規社員も含めた全労働者を対象とすることになりました。
 対応を誤れば企業自体も大きなリスクを被ります。マスコミに取り上げられ、消費者の反発をかって業績が悪化するようなことにでもなれば大変です。株価も下落するかもしれません。また、その会社で働く何の関係もない多くの従業員は、「セクハラ企業の従業員」というレッテルを貼られ、業績次第では生活までもおびやかされることになるのです。経営者にとっても、従業員にとっても、株主にとっても軽視できない問題です。

 この問題はまた、「心の問題」でもあります。この点に配慮しなければ、どのような対応もできません。特に、被害者の心には十分に配慮する必要があります。被害者だけに我慢を強いるなど、被害者の気持ちをさらに傷つけてしまうような対応が見受けられます。

 と同時に、私がこれまで携わってきたケースの中には、行為者がものすごく悩んでいるケースや、訴えられるのではないかと極度に苦しんでいる監督責任者もいました。実は、行為者や監督責任者に対しても、それぞれの立場を考慮し、きちんとカウンセリングなどのサポートをしないと本当の再発防止には結びつかないのです。なぜなら、例えば行為者が自分の不安を解消するために、直接被害者と接触して自分勝手な解決をしようという行動をとらないとも限らないからです。被害者が行為者と二度と会いたくないというようなケースでは、再び被害者を傷つけてしまうことにもなりかねないのです。

 私たちは、産業カウンセラーの立場から、微力ながらこの問題の真の解決に向けて取り組んで参ります。
 男性も女性も、従業員も経営者も、企業自体も発展する、そんな世の中になることを、心より願っております。
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1.どんなタイプがあるのか?
 ●対 価 型:「拒むなら、もう会社にはいられなくなるぞ」
性的な言動を断ったために、労働者が労働条件に不利益を受けた場合
(不利益をほのめかされたような場合も該当する)

++ 例 ++
出張の際、上司から性的関係を要求され、拒否をしたらその後のボーナスの査定を最低ランクにされた。
社長から、外回りの営業車の中でホテルに誘われたり交際を要求されたが、拒否をしたら、自分のみ定期昇給の対象から除外された。
労働者が顧客の性的要求を拒否したら、契約を断られた。
上司の性的要求を拒否したところ、仕事が回されなくなり、結果として昇進の対象とならなかった。
 ●環 境 型:「あいつはふしだらな女だ」
労働者にとって意に反した性的言動があり、就業環境が害された場合

++ 例 ++
<身体接触型>
上司がいきなり給湯室で抱きついてきたので、その場は抵抗して逃れたが、出勤するのが恐ろしくなった。
<発 言 型>
会社内、得意先などに「性的にふしだらである」などの噂を流され、職場にいるのがいたたまれない。
<動 作 型>
化粧室や更衣室の前などで、胸や腰をじっと見る男性労働者がおり、とても不安である。
<視 覚 型>
職場に恒常的にヌードポスターが貼られており、仕事をする場にふさわしくないため掲示をやめるように抗議したが、掲示されたままで非常に不快に感じている。
 ●グレーゾーン:「女なんだからお酌くらいしろ」
性的言動ではないが、女性であるという属性に基づく性別役割分担意識に基づくいやがらせ(=ジェンダー・ハラスメント)

++ 例 ++
お酒の席でお酌を強要する。
カラオケで、デュエットを強要する。
■ポイント1 男性に対するセクハラは?■

 セクシュアル・ハラスメントの被害者の多くは女性労働者ですが、男性労働者に対するセクシュアル・ハラスメントも存在します。
■ポイント2 取引先も職場とみなされます■

 取引先でのセクシュアル・ハラスメントも「職場のセクシュアル・ハラスメント」に該当します。ガイドラインでは、「職場」に該当するものとして、業務命令で行った場所も入れています。したがって、取引先で受けた性的言動は、職場におけるセクシュアル・ハラスメントと見なされ、男女雇用機会均等法上の雇用主の措置義務の範疇です。
■ポイント3 判定基準はどうなっているの?■

 判断基準は、あくまでもケースバイケースですが、まず、「女性が不快に感じていること」があげられます。ただし、女性にも個人差があるため、ちょっとしたことでも極めて不快に感じやすい人から、ほとんど不快に感じないという人もいます。そこで、女性が不快に感じることすべてを対象としているわけではなく、「平均的な女性が不快に感じること」というのが一応の基準になっています。また、繰り返しその行為が行われているかどうか、一回でも悪質かどうかという点も判断基準のひとつとなります。
 男性が被害者となる場合も、同様の基準が適用されます。
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2.男女ともに認識は高まっている
 男女雇用機会均等法の改正当初は、セクシュアル・ハラスメントに対する認識はあまり高くありませんでしたが、それから20年以上を経て、男性従業員、女性従業員ともに認識が高くなってきています。特に、人事担当者、経営者における認識はかなり高いようです。
 しかしながら、それでもなお現実にはセクシュアル・ハラスメントは発生し続けています。
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3.セクシュアル・ハラスメントはどうして問題とされるのか?
 ●人権の側面
セクシュアル・ハラスメントは人権侵害行為です。
 本来これは、セクシュアル・ハラスメントの問題に限りません。性別や人種や年齢等を理由とした差別やいやがらせ行為はすべて人権に関わる問題です。
 ●企業の負う多大なリスクの側面
 セクシュアル・ハラスメントに対する企業の措置義務が法律で規定されていることにより、認識の低い企業は、大きなリスクを負うことがあります。
■男女雇用機会均等法 11条
 (職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
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4.どうしてセクシュアル・ハラスメントが起こるのか?
 ●コミュニケーション不足
 最大の理由は、日常のコミュニケーション不足です。日常から、良好なコミュニケーションがとれていれば、相手が「どんなことを言われたら不快に思うか」「どんなことをされたら不快に思うか」ということは自ずからわかってくるはずです。
 ●コミュニケーションギャップ
 しかしながら、コミュニケーションというのは単に会話をしていればいいというものではありません。相手との価値観の違いも認識した上で、相手を尊重することが基本になります。
 例えば、女性に対して「今日はデート?」などとプライベートなことを聞くのも、男性側はそれをコミュニケーションと思っていても、ただ単に不快なだけという女性もいます。これは、本当のコミュニケーションとは言えません。
 ●男女の役割の固定化
 男女の役割を固定化した価値観からもコミュニケーションのギャップは生まれます。「女性はお茶を入れる、男性は荷物を運ぶ」という価値観も、ひとつの価値観ではあっても、誰にでも受け入れられる共通の価値観とは言えなくなっています。価値観が多様化していることを認識し、違う価値観の人も受け入れることができないと、セクシュアル・ハラスメントだけではなく、世代間の断絶など、人間関係のあらゆる面で多大なトラブルを生むことになります。
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5.対応のポイント
刑事のように被害者から事情聴取してはダメ!
 被害者から相談を受けた場合は、事実の確認をしなければなりませんが、その際、被害者を問いつめるような口調になったり、相手の心に配慮せず、「真実の追及を行う」というような刑事のようなつもりになったりしては、相手をかえって傷つけます。
 まず、相手の話に十分に耳を傾け、相手の意をくむことが大切です。決して自分が話しすぎてはいけません。「相手の話を聞く」ために行っているのですから。
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